日付: 2019年12月26日
UP & DOWN SLOW FAST③ ~17歳の自分に見せたら怒られそうなブログ~
イノマーという人が亡くなった。
このブログに書くのが憚られるような名前のバンドでベースボーカルやっていた人で、その前にはオリコンの出版していた音楽週刊誌の編集長も務めた人。
口腔底がんが発見され、舌を全切除され、再発し、立ってるのも辛そうな状態でライブをして、で、53歳で亡くなった。
この人はオリコンを辞めてから『STREET ROCK FILE』という音楽雑誌を発刊していた。
贅沢な付録CDをつけて当時のインディーズバンドをバンバン紹介する雑誌で、今見返すと、読者もバンドもインディーズシーンもこれに育てられたことが容易に想像できる。さらに、この人はオリコン編集長のときに時代の空気を無視してFISHMANSを表紙にしたんだそう。個人的には、15歳で友達が貸してくれた『STREET ROCK FILE』でたくさんのバンドを知り、20代のほとんどをFISHMANSを聞いて過ごした僕の人生は、たぶんこの人がいなかったら全然別物になっていたんだろうと思う。
亡くなられて話題になる中で、イノマーさんが書いていたブログのことを知った。
元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』
この第一回の内容を読んで、久しぶりの感覚に揺さぶられた
“人には必ず,今この瞬間が人生最大のチャンスだ!というときがある。それを絶対に見逃さないことが大切だ。”
“大切なことはイメージするということ。こうなりたい,こうしたい!というイメージができない人間は当然,そこにたどり着くことができない。”
これだこれだ。
僕の好きなたくさんのミュージシャンも同じことを言っていた。
脈拍が上がって、やる気が出た。
自分の本当にやりたいことってなんやったっけ、と考え出した。このことをブログに書いてみんなに共有しよう、とこのブログを書き始めた。
で、書いてるうちに、素直に書けなくなってきた。
大して叶えたい願望や夢がないのに、「何かを成し遂げようとする自分」に振り回されてたなあ、というのが最近の発見ではなかったか。
もちろん「成し遂げたい何か」を持ってる人にとっては、この言葉はとても重要なことであると思う。
でも「成し遂げたい何かを持て」というメッセージとは違う(そういうメッセージを放つ人もいたけど)。
些細なことでもいい、というけど、些細な欲もないこともある。
逆に考えるまでもなく満たしている欲もある。
そもそも自分のすべての欲望に自覚的である必要もないし、欲望が一番大事とも限らない。
もちろん自分の欲望を叶えている人生が勝ちというわけでもない。
今自分には福祉やら今の仕事を通して、何を成したいのかがよく見えていない。
今の仕事や生活で誰かに何かをしてあげられているともあまり思っていない。
でも周りの反応を見る限り、淡々とこなしている仕事が誰かの何かを支えているんだろうとは思えている(疑うことが得意ではないので、騙されている可能性もあるけど)。
不満を解消したい、悪い状況を良くしたい、というのも立派な「やりたいこと」だとは思うし、そのくらいはあるだろうと突っ込まれそうだが、「どうにかしたい」と思えるほどの不満は今はない。
なんともまあぬるま湯思考だなとも思いますが。。。
まあ、ひとまず、夢は何歳でどういう状況で見ようと勝手だし、推進力になるような何か無しで物事が続けられるほど生真面目な性格でもないので、どっかのタイミングで「これやりたい」と思えるものが自分には出てくるとは思ってる。
いや、「どっかのタイミングで」っていうこのテンションで老いていく可能性もあるけど、穏やかに老いていけるならそれはそれで幸せだとも思う。
とりあえず今は、無い衝動で自分を無理につき動かそうとはせずに、一旦落ち着いて、淡々と過ごせている今の日々を生きようと思う。
イノマーさんのメッセージは、叶えたい夢が出てきた時のために大事にしまっておくことにする。
と悠長な感じで締めるのもなんか嫌なので、最後にもう一文ブログから引用しておく。
“そして,補足するとしたら,チャンスがやって来たときに,その波と戦える体力を常にキープし続けるということ。
(中略)
イメージトレーニングを欠かさず,いつ何時でもチャンスを有効に使える状態に自分を仕上げておくことである。まあ,これがとても難しいんだけど。”
イノマーさんも難しいって言ってるくらいだし、やれたらやる、で。
麻生